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博物館・美術館の感想(08)

初回:2015. 1.31


2012年11月20日(火) 「特別展 出雲 -聖地の至宝-」(東京国立博物館)

 2012.11.20(火),上野駅近くの「東京国立博物館」にて「古事記1300年 出雲大社大遷宮 特別展 出雲 -聖地の至宝-」展を観てきました。これはいつも企画展が行われている「平成館」ではなく「本館」1階の特別5・4室で行われているものです。

 さて,感想ですが,つまらなかったです。と言うのは,私が好きな美術品はほとんどなく,本とか,銅剣,銅鐸,木像(神),あるいは,古い柱の根元(大昔の出雲大社の柱)ととかだったからです。こう言うの,歴史に興味を持っている人にはいいでしょうが,私のようなものには向かないです。なお,古事記は近衛本が展示されていたのですが,和綴じの極めて新しく見えるもので,これでは書かれた時から時代が経ちすぎで,漢字部分はそれほど当初とは変わっていないと思いますが,フリガナ,レ点等の読み方等,どこまで昔のものを伝えているのか,疑問に思いました。

 しかしながら,それでも収穫がありました。すなわち,銅剣,銅鐸には復元したものも展示されていたのですが,それらは銅色に光っていました。私は今まで,これらは緑青で覆われている緑色のものしか見たことがなかったので,てっきり,大昔も同じような感じだと思っていたのですが,実際はそうではなくて,銅色に光り輝いていたのですね!

 勿論,その後は常設展を観たのですが,やはり,仏像の所は心がなごみます。また,観た記憶が無い仏像もあったので,最近,展示替えを行ったようです。これ以外では,華やかな感じの「酒井抱一:流水四季草花図屏風」,林と白い狐が淡い色彩で描かれている「下村観山:白狐」,蒔絵の文箱等が良かったですが,それ以外に,「東京国立博物館140周年特集陳列 グラスゴーから来た西洋画―博物館草創期の国際交流1」が行われており,多数の油絵や石版画が展示されていました。油絵は保存状態が良くなく,ニスを洗浄,塗り直した方が良いものばかりでしたが,その中には「ワットー:運動」,「ロラン:海港日暮図」,「ロラン:海港日没図」,「作者不詳:婦人像」等は素晴らしいものでした。また,石版画は当時のカラー印刷に相当するものだそうで,これらもよくできているのには驚きました。これらの油絵は倉庫の奥深くに置いておくのではなく,上野公園には国立西洋美術館があるのですから,そこに修理を条件に貸し出して常時展示して欲しいものです。

 また,東京国立博物館の歴史的事項も展示されており,その中に昭和25年に正倉院御物展が行われた写真がありました。ううん,今は正倉院展は奈良の国立博物館でしか実施されていませんが,こう言う前例があるのであれば,東京でもぜひ,行って欲しいものです。



2012年 8月15日(水) 「江戸東京博物館 開館20周年記念 二条城展」(江戸東京博物館・1階展示室)

 2012. 8.15(水),両国駅近くの「江戸東京博物館・1階展示室」で開催されている「江戸東京博物館 開館20周年記念 二条城展」を観てきました。

 家を出たのがやや遅かったため,開場の5分後位に博物館前に着き,すぐに中に入ったのですが,あまりの混み方に驚きました。と言うのは,本日は旧盆休みの最終日ですので,空いているのではと期待していたからです。しかしながら,最初の部屋をザッと観て,ドンドン進むと,ほとんど人がいない部屋に行くことができ,そこではジックリと観ることができました。特に,多数の二条城の襖絵が並べられている部屋はゆっくり,観ました。

 さて,感想ですが,ここは,やはり,狭い感じですね。展示点数もそんなに多くないためか,すぐに全部を観終わった感じです。やはり,東京国立博物館等の広い博物館でやる展覧会の方がいいですね。この中では,最初の部屋にあった二条城の「唐門彫刻 松竹梅に鶴と亀」が立体的で素晴らしいです。また,「洛中洛外図屏風」が3枚あり,その1枚には二条城が描かれていましたが,ひどく小さい感じなのには驚きました。まあ,今でも二条城のある場所でそれほど大きくはないので,昔の屏風でも大きく描かれていないのは当たり前かもしれませんが。それにしても,「洛中洛外」を描いた各屏風には,京都にあるお寺や神社が描かれているのですが,屏風を写真に撮って,各寺院や神社の名前を書いておいてたものを解説書として展示して欲しいです。そうでないと,余程,特徴がないと名前がわかりませんので。普通の展覧会では普通はそう言うことをやっているのですが,学芸員は何をやっているのでしょうか。後は二条城・二の丸御殿の襖が大量に展示されていた部屋では,それらの襖の大きいことには驚きました。当時の人間は今より背が低かった筈で,今の人間が見るより更に大きく感じ たと思います。また,長く使っていたものであるせいでしょうが,もう少し保存状態がよければと言うものが多いです。その中では狩野派の「松鷹図」が豪壮で,かつ,雄魂な感じで素晴らしかったです。また,保存状態もよかったですし。あ,勿論,これは金屏風です。そのほか,二条城・本丸御殿の狩野派の「松鶴図」はまるで今描いたような綺麗さで,ともかく,その鮮やかさには驚きました。

 と言うことで,展示数が少ないこと,また,展示室も狭かったのですが,それでも,金屏風は中々だと思います。

 この展覧会,9/23(日)まで行われていますので,ご興味ある方は行かれるのもよいかもしれません。



2012年 7月 5日(木) 「マウリッツハイス美術館展」(東京都美術館)

 2012. 7. 5(木),上野駅近くの「東京都美術館」で開催されている「マウリッツハイス美術館展 -オランダ・フランドル絵画の至宝」を観てきました。この美術館,ここ1,2年間は建物の改修を行っていたので,入るのは久しぶりです。

 開場の9:30に,地下1階の会場入口に着いたのですが,既に,並んでいる筈の列はなく,すぐに入ることができました。ううん,「真珠の首飾りの少女」が展示されているからと言っても有名な美術館の展覧会ではないからか,随分,空いているなあと思って,これならばゆっくりと観られると思って展示室に入ったら,なんと,ひどい混み方です。ザッと観ながら進むのですが,どこも人だらけです。どうやら,開場は9:30ではなく,9:20かそれより前に行われたようです。そして,エスカレーターで1階に上がるのですが,このエスカレーターは上りのみですので,それでは戻るのは面倒だと思って,この地下1階の会場をゆっくりと観ることとします。

 地下1階は「風景画」では「ヤーコプ・ファン・ライスドール:ベントハイム城の眺望」,「ヤン・ボト:イタリア風の風景」(暖かい感じ)及び「ヘリット・ベルクヘイデ:狩りに向かう貴族たちのいるホフフェイフェル池のほとり」が中々のものでした。次の「歴史画(物語画)」では「ヤン・ブリューゲル(父)とヘンドリック・ファン・バーレン:四季の精から贈り物を受け取るケレスと,それを取り巻く果実の花輪」がその華麗さで,本日の展覧会では最も素晴らしかったです。後,「ペーテル・パウル・ルーベンス:聖母被昇天(下絵)」,「ヨハネス・フェルメール:ディアナとニンフたち」も中々でした。

 エスカレーターで1階に行くと,「ヨハネス・フェルメール:真珠の首飾りの少女」がまずあるのですが,このために1部屋をとってあり,2列で並んで待つ仕組みになっています。既に,長蛇の列になっており,15分間位待って,ようやく,観ることができました。他のほとんどの絵は直に観ることができるのですが,この小さな絵はガラスのウィンドウの中に入っており,その上,その前には柵まで設けられており,1列になってゆっくり歩きながら観ることになります。このため,細かいところ,例えば,目の中の白点を探そうとしたのですが,見つかりませんでした。

 それ以外には,”肖像画と「トローニー(不特定の人物を描いたもの)」”がありましたが,これらはほとんどが男ばかりで私の興味外です。エレベーターで2階に。ここにはと「静物画」と「風俗画」がありましたが,こちらもほとんど私の趣味のものはありませんでした。

 元の場所に戻るにはと係員に聞いている人がおり,その答えでエスカレーターの上がった所にエレベーターを使えば,元の地下1階に戻れることがわかったので,下って,再度,最初から観ましたが,「真珠の首飾りの少女」は先程より更に並んでいましたので,勿論,これは抜かしました。

 出口は入口の脇でしたが,10:30位にここから出たところ,何と,長蛇の列になっていました。ううん,内部はそれほど混んだ感じはしなかったので,多分,入場制限を行っているのだと思います。また,この手の展覧会では紙1枚の作品リストが配布されることが多いですが,今回はB6サイズ位の12ページのカラー版と言う力の入ったものでした。

 と言うことで,本日は地下1階の風景画と歴史画を観ることができて良かったです。なお,この展覧会, 8/3(金)まで開催しているそうです。



2012年 6月26日(火) 「日本の美・発見7 -祭 遊楽・祭礼・名所-」(出光美術館)

 2012. 6.26(火),有楽町駅近くの「出光美術館」で開催されている「日本の美・発見7 -祭 遊楽・祭礼・名所-」展を観てきました。当日は,朝から青空だったので,「東京駅→皇居東御苑→皇居→日比谷公園」にて撮影後に行ったので,着いたのは11時頃でしたが,平日のこともあり,観客も少なく,じっくりと観ることができました。

 この展覧会では屏風が多いのが良かったのですが,屏風絵でも私が好きなのは風景を描いたものですが,今回は「祭り」と言うことで,沢山の人を描いたものがほとんどで,ともかく,描いている人の多さのため,人に酔ったような気分になりました。また,絵の内容も解説を読まないとよくわからないものがほとんどであったのには参りました。ともかく,解説を読まないと,内容がわからないので,いつもとは全くかってが違うのには参りました。

 この中では,以下が良かったです。

(1)「洛中洛外図屏風」(江戸時代)
 ここには豊国社・三十三間堂・大仏殿・清水寺・祇園社・知恩院等が描かれているのですが,今のものと大きく違っていることが目立つほか,「大仏殿」なんて江戸時代にあったのですね。ううん,この辺りに大仏殿があったなんてことは初めて知りました。

(2)「祇園祭礼図屏風」(江戸時代)
 所謂,祇園祭りが描かれているのですが,山鉾は現在のものとと同様に背の高い棒が付いているものでした。また,船の上に乗せたような感じの山鉾もありました。また,神輿も描かれているのですが,これは現在のものと大きく異なり,全体が金属ではなく,木で作られているようで,屋根部分は黒く塗られ,その下の部分と言うか,周りの部分は朱色に塗られています。

(3)江戸名所図屏風(江戸時代)
 浅草寺,寛永寺,東照宮,湯島天神,神田明神等,今でも残っている建物が多数描かれているもので,これらの建物の現在とは全く異なりますし,色も朱色に塗られています。

(4)歌舞伎・花鳥図屏風(江戸時代)
 小さな屏風と言うか,枕屏風みたいな感じですが,表面には歌舞伎が,裏面には花鳥が描かれているもので,私は裏面の方が遙かに好きです。

 この展覧会,7/22(日)までやっているそうですので,ご興味ある方はいらして下さい。



2012年 6月21日(木) 「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」(国立西洋美術館)

 2012. 6.21(木),上野駅近くの「国立西洋美術館」で開催されている「ベルリン国立美術館展 学べるヨーロッパ美術の400年」を観て来ました。ここは9:30開場なので,その直前に門前に着いたのですが,既に,美術展は開場となっていました。おそらく,9:25辺りに開場されたのだと思います。しかしながら,中に入っている人は多くはなく,10:30頃でも十分にゆったりした感じで観ることができました。

 さて,感想ですが,驚いたことはこの美術展,油絵が少なく,その代わりに彫刻,すなわち,壁にかけるような感じの石の彫刻や彫刻風の陶磁器,ブロンズ像等が非常に多く,4割位が彫刻,3割位が油絵,残りが素描と言った感じで,それ以外に非常に大きなタペストリーが2枚ありました。と言うことで,彫刻はともかく,私が好きな油絵が少ないことが残念でした。

 その中では,

(1)ジョヴァンニ・ディ・アントニオ・ブオーラ?:福音書記者ヨハネ・・・大理石像ですが,表情が良いです
(2)ティルマン・リーメンシュナイダーと工房:奏楽天使・・・笛・リュート・太鼓・歌等を奏している姿が興味深い彫刻です
(3)グレゴリオ・ディ・ロレンツオ・ディ。ヤコポ・ディ・ミーノ:女性の肖像:石像ですが,これも表情がいいです
(4)ルーカス・クラーナハ(父)の工房:マルティン・ルターの肖像:何か,宗教者とは思えない傲慢な感じが興味深い感じの絵です。
(5)ヤン・サンデルス・ファン・ヘメッセン:金貨を量る若い女性:ようやく油絵です。
(6)ルーカス・クラーナハ(父):ルクレティア:痩せた感じの若い女性の全身ヌードの油絵です。この絵が最も良かったです。
(7)レンブラント派:黄金の兜の男:金色の兜の輝きが素晴らしいです。
(8)アンソニー・ヴァン・ダイク:羊飼いの礼拝:素描では唯一,まともなものでした

 なお,この展覧会では「ヨハネス・フェルメール:真珠の首飾りの少女」が目玉だったようですが,表題は完全にインチキで,せめて,「ヨハネス・フェルメール:真珠の首飾りの若い女性」位にして欲しいです。だって,とても少女には見えませんので。少女と言うのは,年齢的にせいぜい18歳未満だと思いますし,本当のところでは,「ヨハネス・フェルメール:真珠の首飾りの小太りの女性」辺りが正解だと思います。

 また,全身の小さなブロンズ像も結構ありましたが,まるで,ロダン製作のブロンズ像を観ているような感じだったのには驚きました。

 この展覧会,9/17(月)まで開催だそうですので,ご興味ある方は行かれて下さい。



2012年 4月10日(火) 「ボストン美術館 日本美術の至宝」(東京国立博物館)

 2012. 4.10(火),上野駅近くの「東京国立博物館」で開催されている「ボストン美術館 日本美術の至宝」展に行ってきました。開館の5分前の9:25に門前に着いたのですが,既に100名位が並んでいました。そして,9:30に開門,列を保ったまま「ボストン美術館 日本美術の至宝」展の会場である「平成館」まで進み,そして,中に入りました。

 階段を登って左折します。最初の部屋は保存状態が悪い古い仏画ばかりだったので,ザッと観て進み,隣の部屋に行くと,こちらは中々良い仏像があり(それにしても,明治時代,廃仏毀釈のせいで,こんなものまで海外に流出したのですね!),そして,3巻に渡る「吉備大臣入唐絵巻」,「平治物語 三条殿夜討巻」がありました。この部屋は,まだ,人がほとんどいない状態なのでじっくりと観ることができました。前者では絵自体は私の趣味ではありませんでしたが,登楼のものすごく急な階段が面白かったです。後者は戦いの様子を描いたもので,多数の鎧姿の武士が描かれ,すごい迫力です。こちらは,日本にあったら,間違いなく「国宝」に指定されていたと思います。3つ目の部屋は掛け軸や屏風がメインでしたが,全体的にパッとしない感じでした。

 階段に向かって右側の部屋です。まずは,江戸時代の女性の着物と,刀です。着物はものすごく保存状態が良く,また,絵柄も斬新です。次の部屋に行くと,ようやく私の趣味の絵と言うか,屏風がありました。まずは,「長谷川等伯:龍虎図屏風」で,虎は全身が描かれているのに,龍は頭部分しか描かれていませんが,それでも,素晴らしい構成です。後は「狩野永納:四季花鳥図屏風」で,ありきたりの感じですが,岩山,牡丹,雪等が描かれていて華やかで良いです。後は「宗達派:芥子図屏風」も下部分に花が描かれているだけなのですが,華やかな感じで素晴らしいです。最後の部屋は「曽我粛白(「粛」は本当は草冠りを加えた字)」と言う画家が描いた多数の屏風ですが,その絵は退廃的過ぎて私の趣味には全く合わないものですが,それでも奇妙な魅力を感じさせるものでした。しかしながら,それでも,最後に展示されていた8枚の襖に1匹の龍が描かれている「雲龍図」は素晴らしかったです。左側4枚には頭部分が,右側4枚にはしっぽ部分が描かれており,中央部には胴体が描かれていたそうですが,それは失われてしまったようです。しかしながら,すごい迫力でした。この襖が 使えるような大きな部屋に住みたいものですね(笑)

 なお,10時過ぎには最初の部屋はものすごい混み方になっていました。

 と言うことで,この展覧会においては,「平治物語 三条殿夜討巻」と「雲龍図」は絶対に見逃せないものだと思います。なお,この展覧会は6/10(日)までだそうです。



2012年 3月15日(木) 「ユベール・ロベール -時間の庭-」(国立西洋美術館)

 2012. 3.15(木),上野駅近くの「国立西洋美術館」で開催されている「ユベール・ロベール -時間の庭-」を観てきました。

 ユベール・ロベール(1733〜1808)はフランスの風景画家だそうで,私は初めて聴いた名前です。さて,感想ですが,つまらなかったです。と言うのは,私は油絵は好きですが,版画や素描はあまり好きではありません。今回の展覧会は油絵は少なく,茶色のチョークで書かれた素描が大部分だったからです。その上,油絵はローマ時代の大理石を使った大きな建物の絵が大部分で,同じような絵でしたら,クロード・ロランの絵の方が遙かに素晴らしいです。結局,まあまあだったのは「丘を下る羊の群」(レンブラント風の下の方に光が当たったような感じの絵です),「羊飼いの礼拝」(マリアが優しい感じの絵です)の2枚の油絵でした。

 その後は,勿論,常設展を観ましたが,見慣れない絵が何枚かあったので,模様替えをしたようです。こちらの絵の方が,先程の企画展より遙かに素晴らしかったです。

 なお,観客の入りですが,私は開場2分後の9:32頃に会場に入ったのですが,合わせて30名程度と非常に少なく,ほとんどの部屋では私1人で観ている状態でした。と言っても,さすがに10時頃になると50名位にはなりましたが。

 と言うことで,この画家が日本ではほとんど知られていないことに十分,納得しました。



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