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博物館・美術館の感想(07)

初回:2015. 1.31


2011年12月 7日(水) 「長谷川等伯と狩野派」(出光美術館)

 2011.12. 7(水),有楽町駅より日比谷公園に行ってモミジの紅葉の撮影後,「出光美術館」で開催されている「長谷川等伯と狩野派」展を観てきました。

 平日と言うのに,観客が多いのには驚きました。ここは3つの部屋から成り立っており,第1室は大きな屏風ばかりでしたが,全体に状態が悪いものが多く,唯一,まあまあだったのは,まるで大きな猫みたいな感じの水墨画「長谷川等伯:竹虎図屏風」位でした。第2室では,竹林と鶴が描かれている水墨画「長谷川等伯:竹鶴」が,広い白地の部分に積もった雪を感じさせるのがいいです。第3室では,五層の大坂城,船,鎧甲の多数の武者が描かれた金屏風「長谷川等意:大坂夏の陣図屏風」が華やかで良かったです。また,藤の花がまるで螺鈿細工のように見える金屏風「長谷川派:藤棚図屏風」,橋が浮き出ているように見える金屏風「筆者不詳:宇治橋柴舟図屏風」及び「筆者不詳:月次風俗図扇面(高雄観楓・東寺)も中々,良かったです。なお,これら以外に陶磁器もありましたが,いずれも私の趣味ではありませんでした。

 それにしても,観客は解説の紙の所に列を作っていましたが,解説より自分の感性を信じる方が大切だと思います。



2011年10月25日(火) 「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」(国立西洋美術館)

 2011.10.25(火),上野駅近くの「国立西洋美術館」で開催されている「プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影」展を観てきました。開場の5分前の9:25に美術館前に着いたら,既に,60名位が門前に列をなしており,そして,9:28に開門,列のまま進みましたが,途中で,20名程がキップ売り場に行き,建物に入って,更に10名程がロッカーに荷物を入れに行ったので,結局,私より前に展覧会に入ったのは30名程でしょうか。

 会場は,まず,地下3階の部屋です。ここは狭い部屋ですが,大きな油絵が5点程と,小さな油絵,そして,素描等で,この中では,若い男女を描いた「日傘」,道路で家具等を販売している所を見ている男達を描いている「マドリードの祭り」,そして,ジプシーの衣装を着た女性が描かれている「マハとマントで顔を覆う男たち」の3点が素晴らしかったです。「日傘」は男女とも顔が漫画風ですが,女性の顔に対する光の当たり方が素晴らしいです。「マハとマントで顔を覆う男たち」の中央部に描かれているジプシー風の女性は,この展覧会の絵の中の女性で最も綺麗でした。後は,小さな絵では「目隠し鬼」が青春を描いた感じで良かったです。

 ここより,階段を登って地下2階の部屋に行きましたが,ここは大きな部屋を小さな区画に区切ったもので,この展覧会の目玉である「着意のマハ」がありました。これは畳2/3畳程の大きな絵ですが,この中で描かれている女性,色っぽいことは認めますが,やはり,私の趣味ではなく,もし,「裸のマハ」がなければ,今ほど,有名にはならないのではと思いました。後,まあまあだったのは大きな油絵「初代フロリダブランカ伯爵ホセ・モニーノ・イ・レドンド」,鳥の羽で飛んでいる版画「飛翔」です。それにしても,地下2階は私があまり好きでは無い小さな版画や素描が大部分(80点位)で,油絵は合せて20点位しかなく,それらの絵もあまり好きでないものばかりであったのは残念でした。 それにしても,この展覧会,あまり人気が無いようで,10時過ぎでも,ゆったりと見ることができました。

 その後は,常設展を見ましたが,5,6点,見たことがない絵がありましたので,今までとは少し,展示内容を変更したようです。

 と言うことで,この展覧会,来年の1/29(日)まで開催だそうですので,油絵や版画・素描に興味ある方は,行かれてもよいかもしれません。



2011年 9月14日(水) 「国宝 源氏物語絵巻に挑む -東京芸術大学 現状模写-」(東京芸術大学・大学美術館)

 2011. 9.14(水),上野駅近くの「東京芸術大学・大学美術館」にて開催されている「国宝 源氏物語絵巻に挑む -東京芸術大学 現状模写-」展に行ってきました。これは,徳川美術館及び五島美術館にある「源氏物語絵巻」を東京芸術大学の学生達が模写したものと,徳川美術館にある本物が5点,展示してあるものです。

 ここの開場は非常に遅くて,10時なのですが,少し,遅れた10:07に美術館に入り,早速,地下2階の展示室に行きました。展示室は2つに分かれており,まずは,左側の第1室から観ました。この展覧会,本物も展示されていることを知らない人が多いのか,人気がないようで,室内はガラガラです。模写に関しては,全体的によく描けていると思いますが,絵より,文字部分(詞書き)のものが多いのには参りました(現在は,絵巻物の形ではなく,額に入った絵の形で展示されています)。確かに優雅な感じも文字ですし,また,紙部分の装飾も素晴らしいのですが,私にとっては,やはり,絵部分が観たいですので。

 さて,肝心な本物ですが,絵部分が2点,そして,文字部分が3点で,前者では,

(1)「柏木1」:光源氏の正妻となった女三ノ宮が出家すると父親の法皇に言ったので,法皇が泣き,光る源氏がうつむいている場面

(2)「宿木3」:匂宮が宇治の中君のもとで琵琶を琵琶を弾いている場面

で,これと,模写を比較したら,模写の方がシャープな感じがしましたが,もし,模写を本物と言われても,私にはわからないと思います。

 それにしても,折角,展示してあるのですから,絵の場面の説明書きが欲しいと思いました。そうでないと,どういう場面かわからない人が結構,いると思いますので。その後,第2室に行ったのですが,こちらは,模写の製作方法等に関するもので,絵等の展示は無くてガッカリでっした。

 また,3階で行なわれている「区長賞創設30周年記念 台東区コレクション展」を見ましたが,ものすごく大きな油絵が多数,と言っても,私の琴線に触れたものはありませんでしたが,ともかく,その数の多さには驚きました。このほか,敦煌莫高窟壁画の模写のも13枚程,展示されていましたが,壁画の下地として描かれた太い線だらけの絵がほとんどで,こちらも感心しませんでした。

 なお,源氏物語絵巻は名古屋の徳川美術館でも常時展示している訳ではなく,行っても必ずしも見ることが出来るだけではありませんし,この展覧会に開催期間は9/9(金)〜9/25(日)で,また,終了までの期間も十分ある上,入場料も500円と安いので,ご興味ある方は,ぜひ,行かれて下さい。



2011年 7月22日(金) 「空海と密教美術展」(東京国立博物館)

 2011. 7.22(金),上野駅近くの「東京国立博物館」で開催されている「空海と密教美術展」に行ってきました。開門の9:30直後に行ったら,既に100名以上の人達が前庭を平成館に向かって進んでいるところでした。早速,私もそれに加わり,そして,平成館に入り,エスカレーターで2階に行きます。

 本日はエスカレーターの左側の部屋より始まります。まずは第1室目ですが,私には全く興味が無いお経のほか,絵は状態の悪い物ばかりですので,ザッと見で次の部屋に進みます。2室目はお経をとなえる時等の金属製の「鈷鈴」等の金属製のものがメインで,これも私の興味の範囲外です。しかしながら,それでも「兜跋毘沙門天立像」(京都・東寺)があって,ホッとしました。第3室目も,これまた,状態の悪いものや,お経等の私の興味の範囲外のものばかりでした。

 反対側の部屋に行きます。第4室も,文字が書かれた巻物や,状態が悪い絵が多くて,私の興味の範囲外のものがほとんどで,その中で,まあまあなのは最初にあった「両界曼荼羅図」(京都・東寺)と,「千手観音菩薩立像」(香川・聖通寺)位でした。第5室に入り,こちらはほとんどが仏像で,入口近くにあった金色で優しい表情の「阿弥陀如来および両脇侍像」(京都・仁和寺),「業用虚空蔵菩薩座像」(京都・神護寺)が良かったですが,残りは異教の神々と言った感じの像で,そのほとんどが動物の上に乗っている姿と言うのも異様な感じでした。

 最後の第6室は,まず,高い場所から部屋全体を見ることができる作りになっているのですが,暗い中に多数の光を当てられた仏像が展示されているので,それらが浮き出ているように見え,すばらしい演出です。そして,降りて,各仏像を見ますが,その中では,両手に武器,足の下には鬼がいる「持国天立像」(京都・東寺)はその表情といい,姿といい,迫真的です。また,足の下にはシヴァ神がいる「降三世明王立像」(京都・東寺),これには手が8本もあるのですが,これも迫力です。そして,「増長天立像」(京都・東寺)も見応えがありました。すなわち,この展覧会,この第6室を見れば十分と思う程のこの部屋の充実度でした。

 その後,本館に行きましたが,こちらの仏像は先程見たものよりかなり劣っている感じがしましたが,多数の螺鈿細工の箱が展示してある部屋は,本日の本館の展示の中では,最も素晴らしかったです。

 と言うことで,「空海と密教美術展」では第6室が最も素晴らしく,これを見るだけでもこの展覧会に行く価値があると思います。なお,これは9/25(日)まで開催されており,半分位の展示品は全期間展示されているわけではないので,全部を見たいのであれば,何回か,行く必要があるようです。



2011年 5月18日(水) 「花鳥の美 -珠玉の日本・東洋美術」(出光美術館)

 2011. 5.18(水),有楽町駅近くの「出光美術館」にて,「花鳥の美 -珠玉の日本・東洋美術」展を観てきました。開場の10:00より5分程過ぎて入りましたが,ガラガラ状態で,これで大丈夫なのかと思いましたが,次第に増えて,11時頃にはかなりに人がいるようになりました。

 さて,感想ですが,この展覧会,危惧していたことが当たって,陶磁器や木の大皿等,私の趣味では無いものが多くて,屏風等の絵が少ないのが残念でしたが,その中では,まあまあだったのが以下です。

 第一室では,「伝雪舟等揚:四季花鳥図屏風」は竹と松が中心に描かれたもので,その中ではピンク色の牡丹の花が綺麗でした。「狩野永納:遊鶴図屏風」は,保存状態が素晴らしい金屏風で,牡丹の花と松が描かれており,地上には2羽の鶴と2羽の子供の鶴が,また,空を飛んでいる1羽の鶴と2羽の子供の鶴が描かれているもので,本日,観たものの中では,最も素晴らしいものでした。「伝雪舟等揚:四季花鳥図屏風」は牡丹の花の誇張が面白かったです。このほか,「山本梅逸:四季花鳥図屏風」も素晴らしい保存状態で,描かれている鶴が良かったです。

 第二室では,「作者不祥:金銅蓮唐草文透彫経箱」があまりに素晴らしいのには驚きました。これ,蓋付きの箱なのですが,文様が透かし彫りなので,箱が透けており,金属で作られたものとは言え,これだけのものをよく彫ったと感心しました。

 第三室では,「作者不祥:螺鈿双鳳花鳥文衣装箱」が,螺鈿の文様は私の趣味ではありませんが,技術は素晴らしいと思いました。「谷文晁:枯木山鳩図」は緑色の鳥が描かれていたのでウグイスかと思ったのですが,山鳩でした。「作者不祥:花車図屏風」は藤の花の下に,牡丹の花がいけられた花籠を乗せた黒い漆塗りの牛車が描かれているのですが,全体的な優雅な感じが良かったです。「作者不祥:吉野龍田図屏風」は左側の屏風全体に紅葉が,右側の屏風全体には桜が描かれているのですが,特に橙色の紅葉が華やかな感じで良かったです。後,次回の展覧会の予告として飾ってあった「作者不祥:粉彩桃花文天球瓶」は大きな壷ですが,描かれている桃の実が綺麗で良かったです。

 と言うことで,この展覧会は全体から言うと私の趣味ではありませんでしたが,それでも,「狩野永納:遊鶴図屏風」と「作者不祥:金銅蓮唐草文透彫経箱」は素晴らしかったです。

 この展覧会は,6/19(日)まで行われていますので,ご興味ある方はいらして下さい。ただし,「狩野永納:遊鶴図屏風」は5/22(日)までの展示です。



2011年 4月21日(木) 「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」(国立西洋美術館)

 2011. 4.21(木),上野駅近くの「国立西洋美術館」にて開催されている「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」展を観て来ました。ここは9:30開場なので,その5分前に美術館前に着いたのですが,美術館と東京文化会館の前はものすごい数の高校生達が集まっています。ものすごい混み方と思ったら,そうではなくて,実際に門前で待っていたのは10名程度でした。そして,9:28に開門,建物の前庭を通って,建物の中に入り,地下の会場に。途中で入場券を買う人や荷物をロッカーに入れる人がいて,会場へは4人目で入れました。そして,どんどん,観て行ったのでほとんどの部屋では私,1人で観ている状態でした。と言うことで,ガラガラ状態でした。

 さて,感想ですが,全部で126点もの展示品があると言うのに,油絵は非常に少なく(全部で20点位でしょうか),版画ばかりと言う状態にはガッカリでした。その上,その版画も,同じものが何枚もあり,和紙に刷ったものや,修正を加えたものまでありました(レンブラントの版画は,刷る紙の種類を和紙に変えたりしたほか,1回販売後に版に修正を加えて更に販売,更に,修正して販売と,同じ表題のものでも,何種類かあることが特徴です。このようなことを行ったのは,芸術的見地もあるでしょうが,それ以外に,修正したり,紙の種類を替えれば,別物の扱いとなり,販売できるからで,描くのに時間がかかる油絵より手軽にお金を得ることができたためだそうです)。その上,油絵でも人物画は男も描かれていますが,太った女性や老婆は見たくないです。

 と言うことで,この中で,まあまあだったのは,版画でしたが,「レンブラント・ファン・レイン:病人たちを癒すキリスト(百グルデン版画) ウィリアム・ベイリーによる修正版」のみでした。なお,この版画,修正版ではないのがほかに2枚,展示されていました。

 この後は,いつものように常設展を観ましたが,こちらの方が遥かに素晴らしいです! こちらを観て,ホッとした気分になりました。なお,ここは,撮影自由ですので(ただし,音がするカメラやフラッシュでの撮影は禁止ですので,デジタル式一眼レフカメラは止めた方が無難です),「ジャン・マルク・ナティエ:マリー・アンリエット・ベルトロ・ド・プレヌフ夫人の肖像」と「グイド・レーニ:ルクレティア」を撮影しましたが,ISO400に設定しても,絞り開放でシャッター速度は1/15秒程度と,ともかく,暗いです。

 レンブラントの展覧会,6/12(日)まで開催されておりますので,レンブラントの版画にご興味がある方は行かれてください。



2011年 4月18日(月) 「フェルメール<<地理学者>>とオランダ・フランドル絵画展」(Bunkamura ザ・ミュージアム)

 2011. 4.18(月),渋谷駅近くの「Bunkamura ザ・ミュージアム」で開かれている「フェルメール<<地理学者>>とオランダ・フランドル絵画展 シュテーデル美術館所蔵」を観てきました。ここ10時開場なのですが,本日は休日の後の月曜日なので空いているだろうと思って10:20頃に着いたのですが,中は意外に混んでいるのには驚きました。

 さて,感想ですが,全体的には低調な感じです。その上,表題を見ると,フェルメールの油絵が沢山,展示されているような気がしますが,全95点(この他,地球儀等の特別出品5点)の内,フェルメールは,この絵のみのたった1枚です。まあ,今回の展示品の中で,最もまともだったのが,「ヨハネス・フェルメール:地理学者」ですから,表題は仕方がない感じはしますが。

 後,まあまあだったのは,まるでルソーの絵みたいな感じの動物が沢山描かれている「ルーラント・サーフェレイ:音楽で動物を魅了するオルフェイス」,ワトー風の「ヤン・ブリューゲル(父):嘲笑されるラトナ」,崇高な感じの「レンブラント・ファン・レイン:サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」,非常に精密な感じの「ピーテル・コッド:演奏家たち」,冬景色が描かれている「ルーカス・ファン・フェルケンボルヒ:凍ったスヘルデ川とアントワープの景観」,夕景色の中に羊が描かれている「アールベルト・カイブ:牧草地の羊の群れ」,明るい感じの「シモン・ド・フリーヘル:穏やかな海の上の一本マストの帆船と礼砲を撃つ快速帆船」・「ヤン・ファン・オス:静かな海の上の小船と帆船」,ドラマチックな感じの「アラールト・ファン・エーフェルディンゲン:滝のある風景」,逆光で帆船が光っている「アールト・ファン・デル・ネール:月明かりに照らされた船のある川」,ワトー風の「ヤン・ファン・デル・ハイデン及びヨハネス・リンゲルバーフ:田舎道のある風景」でした。

 なお,全部で15枚あった肖像画は,何で,こんな女性や男性を描かなければならないのと思うようなものばがりですし(勿論,お金のために描いたと言うことは十分に承知していますが),また,13枚あった静物画は主に花や食べ物が描かれているものなのですが,これは死の臭いがするものばかりで,全く私の趣味ではありませんでした。

 と言うことで,この展覧会,5/22(日)まで,休日無しで開催されておりますので,ご興味ある方はぜひ,お出かけ下さい。



2011年 2月24日(木) 「酒井抱一生誕250年 -琳派芸術 光悦・宗達から江戸琳派」(出光美術館)

 2011. 2.24(木),有楽町駅近くの「出光美術館」に「酒井抱一生誕250年 -琳派芸術 光悦・宗達から江戸琳派」展を観てきました。この展覧会,2回に分れ,先日観たのは「第1部 煌めく金の世界」でしたが,今回は「第2部 転生する美の世界」です。

 家を出たのがやや遅かったこともあり,着いたのが開場の20分過ぎの10:20頃だったのですが,中に入ると,「本日は平日なのに,何だ,この混み方は!」と言う状態で,ともかく,あまりの客数の多さに驚きました。しかしながら,しばらくすると,学芸員による解説が始まり,7割位の人達がそこに集まったので,その側の展示品以外は,ゆっくりと見ることができるようになりました。

 さて,まず,「第1室」ですが,本日のこの部屋は素晴らしいものばかりと言う状態で,これだけでも,前回の「第1部 煌めく金の世界」より遙かに素晴らしかったです。

(1)鈴木其一:三十六歌仙
 これは掛け軸なのですが,絵の華やかながいいです。また,絵以外の部分も初めてみるような華やかさだったのには驚きました。

(2)酒井抱一:風神雷神図屏風
 両者のユーモラスな表情がいいですね。

(3)俵屋宗達:西行物語絵巻 第1巻
 繊細な線と色彩が素晴らしいです。

(4)伝俵屋宗達:伝源氏物語図屏風残闕(桐壷)・同(少女)・同(葵)
 繊細な色彩がいいです。

(5)俵屋宗達:伊勢物語 武蔵野図色紙
(6)俵屋宗達:伊勢物語 若草図色紙
 金色の背景に詞書きと絵が描かれているものですが,こちらもいいですね。

(7)伝俵屋宗達:伊勢物語屏風
 少し,荒々しい感じがしますが,それでも素晴らしいです。

(8)酒井抱一:八ツ橋図屏風
 水路と菖蒲のみ描かれている金屏風ですが,大胆な構図が素晴らしいです。

 「第2室」になると,急に質が落ちましたが,その中では1つのみ,良かったのがありました。

(9)酒井抱一:紅白梅図屏風
 紅梅図は感心しなかったのですが,銀箔の上に描かれた白梅の方は良かったです。

 「第3室」は少しはよくなりましたが,それでも,第1室の質の高さからはかなり落ちていました。

(10)酒井抱一:十二ヵ月花鳥図貼付屏風
 六曲の屏風が2つ,すなわち,全12面あるものなので,各面に1ヶ月分づつに絵が描かれた紙が貼ってあります。全体的に寂しげな感じがするのが良かったです。

(11)尾形乾山:色絵定家詠十二ヵ月和歌花鳥図角皿
 四角い更に絵が描かれているものですが,中々,良い絵でした。

(12)鈴木其一:四季花木図屏風
 紅葉,梅と牡丹の花が描かれた金屏風ですが,異国風なところがいいです。

(13)伝尾形光琳:富士図扇面
 金色の中に富士山が描かれているもので,富士山がいいです。

 と言うことで,ともかく,第1室にあったものはいずれも素晴らしいものばかりで,これを観るだけでもこの展覧会に行く価値があると思います。

 それにしても,私は結構,展覧会に行きますが,その時はまず,絵画等の展示物を観て,それが気に入ったら,作者や題名を見て,また,解説を読むこともあると言うやり方ですが,本日もそうですが,まずは解説を読むとか,図録を見てから本物を見るとか,あるいは,学芸員の解説を聞くとか言う人は結構,多いですね。と言っても,本日は,そのおかげで,ゆったりとした気分で見ることができて良かったのですが。

 なお,この展覧会の会期は「2/11(金)〜3/21(月)」で,まだ,1ヶ月間位行われていますので,美術にご興味ある方は行かれても損はない展覧会だと思います。



2011年 1月18日(火) 「琳派芸術 -光悦・宗達から江戸琳派」(出光美術館)

 2011. 1.18(火),有楽町駅近くの「出光美術館」に「酒井抱一生誕250年 琳派芸術 -光悦・宗達から江戸琳派」の前期「第1部 煌めく金の世界」展を観てきました。開場の20分後の10:20頃に着いたのですが,平日ですので,観ていたのは合わせて100名程でしょうか。

 さて,感想ですが,まず,第1室ですが,金を装飾的に使った紙の上に文字を描いたものがやたら多い上,なぜか,扇子を描いたものが多くて,私の趣味の範囲外でした。

 第2室は金屏風を主体にしたもので,結構,見ごたえがありました。すなわち,寂しげな感じの金屏風「伝俵屋宗達:月に秋草図屏風」,もう少し華やかでもと思うのですが「作者不祥:四季草花図屏風」,朱色の花がまるで,バラの花が描かれているのではないかと思うほど描かれている華やかな金屏風「作者不祥:四季草花図屏風」が素晴らしかったです。これ以外に,焼き物では,寂しい花が描かれている「尾形乾山:色絵絵替角皿」が中々でした。

 第3室では,これまた,まるで油絵ではないかと思う程華やかな感じの「喜多川相説:四季草花図貼付屏風」,盛り上がった蓋に鹿が浮き彫りされている「伝尾形光琳:鹿蒔絵硯箱」,孟宗竹と漢詩が書かれた四角い皿「尾形乾山:銹絵竹図角皿」,金色の背景の中に花と和歌が書かれている掛け軸「尾形乾山:梅・撫子図」,表装が素晴らしいのと,細長い画面の中にカキツバタが描かれた掛け軸「尾形光琳:燕子花図」,紅梅,白梅が描かれた金屏風である「伝尾形光琳:紅白梅図屏風」が素晴らしかったです。なお,墨絵の掛け軸「尾形光琳:竹虎図」と「伝俵屋宗達:龍虎図」は,猫が描かれているのではかと思ったのですが,表題を見ると何と虎でした(笑)。

 と言うことで,本日は,2つの四季草花図屏風を見ることができて良かったです。



2011年 1月14日(金) 「総合文化展」(東京国立博物館)

 2011. 1.14(金),上野駅近くの「東京国立博物館」に行ってきました。と言うのは,同館の「平常展」が1/2(日)より「総合文化展」と名称を変えると共に,リニューアル記念と言うことで,1/16(日)まで,国宝・重要文化財等を特別公開しているとの情報を朝日新聞で知ったからです。

 開館20分後に門前に着き,入場券(600円)を入手後,早速,本館に入りました。まずは,1階の展示ですが,全体から言えば,以前と大きくは変わっていなかったのですが,それでも,新たに「蒔絵の箱」等の部屋ができ,そこは薄暗い中で,LEDを使用したスポット照明により蒔絵等が綺麗に見えるようになっていました。その中では,「本阿弥光悦:舟橋蒔絵硯箱」は蓋が小山のように盛り上がっていて素晴らしいでした。また,今回,初めて,表面に盛り上げた文字があるのに気が付きました。これも,ポイントになっていていいですね。このほか,「伝本阿弥光悦:舞楽蒔絵硯箱」は螺鈿を使って人をあらわしているようですが,貝がうまい具合に光っていて良かったです。

 2階においては,「雪舟:秋冬山水図」はもっと大きく,雄渾な絵だと思っていたのですが,実際は40×20cmの程の墨絵2枚で,掛け軸になっているものでした。あまりに小さくて,雪舟のミニチュアと言う感じでガッカリでした。「狩野永徳:檜図屏風」は金屏風ですが,大和絵風の優雅さは無くて,荒々しい感じのものでした。「円山応挙:雪中老松図」も墨絵の掛け軸ですが,雪の白さが感じられるのが良かったです。「尾形光琳:風神雷神図屏風」は昨年だったか,一昨年だったかも観た金屏風ですが,風神も雷神も笑っているのがいいですね。「伝狩野元信:囲棋観瀑図屏風」は山水画ですが,保存状態あまり良くなかったのが残念です。滝の水が垂直に落ちている表現は素晴らしかったです。それにしても,将棋や囲碁で遊ぶのが理想なのかと思ってしまいました。「白隠禅師:粉引歌」は巻物で,最初に漫画風のお婆の絵があり,後は文章が書かれているのですが,絵といい,文字と言い,素晴らしいです。後は,「葛飾北斎:富嶽三十六景」が20枚以上ありましたが,いずれも素晴らしい構図であることに魅せられました。私もあのような構図で写真を撮りたいです。

 東京国立博物館の本館の平常展の展示品は大きく異なることは無く,ここ5年間位,部分的には変わっても,大きく異なることは無かったのですが,今回,その一部とは言え,展示方法が変わりました。これは評価すべきだと思いますが,残りももっとうまい展示をすると共に,倉庫に眠っている収蔵品をドンドン,展示して,せめて,1年に4回位,展示変えを行って欲しいものです。



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